研究概要 |
本年度は、まず、予備的に一部現有のランドサットTMデ-タ、航空写真および地形図より京都府南部および滋賀県南西部における樹林地の分布調査を行ない、それらの樹林地の都市部における地上概査を試みた。その結果えられた残存樹林のうち,京都府南部の常緑樹林(神社林)の植生相観調査とレクリエ-ション状況調査を行ない、都市域内での樹林として評価され、有効にレクリエ-ション利用されていることが判明した。購入した京阪神都市域のランドサットTMデ-タおよび航空写真による解析は現在進行中であり、残存林の分布などこれに関連した調査はひきつづき行なっている。 つぎに環境保全効果のひとつの側面として、樹林の内外、樹林林縁から樹林内への位置および樹林内の高さのちがいによる気温、風速,湿度光量子量,放射熱量など微気象の測定を行ない、その時間変化のデ-タをえた。今回は密生樹林をとりあげて測定を実施したが、その結果,樹林内の気温、風速,湿度などには差が小さく,また,樹林の内外の差は密生林であるためか、樹林内の温度や湿度が相対的に高いという傾向がみられた。これによって樹林密度が林内レクリエ-ション利用の環境保全効果のうえで、重要な要素であることが推測された。密度の異なる樹林を選定して同様の測定をひきつづき行なっていく。 最後に、京都市内で7月から12月まで3千種の樹種を選び、葉色の色彩変化を測定した。その結果,紅葉期の変化として,色相,明度,彩度の点から樹種別の変化パタ-ンの違いが明らかとなり、色相の点で3種類,明度と彩度から4種類の類型化が可能となった。 来年度は、残存樹林の分布状況,樹林構造,生育状況等の調査,微気象の測定をひきつづき行なうとともに,樹林の変遷や利用・意識調査などを実施する予定である。
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