研究概要 |
本研究の目的として最初掲げた光成長抑制物質A-2の化学的本体を明らかにするには至らなかったが、これに必要な技術的知見を次のように集積した。 1.抽出ProgressNo.9は季節を問わず畑で育成することができる。花芽が着生したものや、わき芽にもA-2は十分含まれて使用可能である。凍結は刈り取り後、直ちに行う必要があり-20℃の冷蔵保存で安定に保持される。 2.本植物の抽出物の中性画分に含まれる成長抑制物質A-1-1(Pisatin)、A-1-2、A-1-3、A-2およびA-3を同定するシリカゲルカラムクロマトを標準分離法として定式化した。 3.逆相高速液体クロマト(HPLC)によりA-1-3に2種(α,β)、A-2に3種(α,βおよびγ)、A-3に2種(α,β)が存在することを明らかにした。 この他、この研究過程で新たにA-1-3の存在を見出し、HPLCおよびガスクロマト(GC)においてピークを特定することに成功した。GC-MS結果、分子量は250、αとβの2種の幾何異性体が存在し、溶液中で相互変換をするが-80℃ではしないことを明らかにした。またA-1-3は黄白エンドウ芽生えの成長を抑制すること、および赤色光照射により増加することを突きとめ、光成長抑性物質としての資格を有することを明らかにした。
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