在圃期間を短縮し、施設の生産性を高める方法として、ポットあるいはセル成型トレイ(プラグトレイ)を用いて苗を長期間育苗し、大苗として本圃に直接定植する方法が考えられる。そこで、応用研究として、苗の形状および切り花品質と切り花生産性から、ポットおよびトレイの最適セルサイズと最適育苗期間を明かにしようとした。当該年度は、カーネーションについて以下の知見を得た。 1.苗の形状:苗の茎長は、セルサイズが小さくなるほど徒長により長くなった。側枝数ならびに側枝葉面積は、ポットおよびセルの容量が大きくなるほど有意に増加した。苗の定植時の葉内窒素含有率(対乾物比)はセルが小さくなるほど低下する傾向にあった。 2.定植後の生育:セルサイズが小さくなるほど、一次側枝(一番花)の側枝長が短く、一番花の開花に要する日数が長くなった。 3.切り花品質:高温・高照度・長日期の実験であったため、いずれの区も切り花品質(切り花長、切り花重)はよくなく、処理区間に有意な差は認められなかった。 4.切り花生産性:定植後、二次側枝が発生・発達する時期まで育苗の影響は残らなかった。最終的な収量は、定植後の栽培環境と栽培方法によって決まると考えられた。 5.育苗期間:本実験では2、3、4、5週間の区を設けたが、ポットおよびセルの密度ならびに容量の影響は育苗期間が長くなるにつれて強く現われた。
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