研究概要 |
IDH(Isocitrate Dehydrogenase)、FDH(Formate Dehydrogenase)およびSOD(Superoxide Dimutase)の3酵素について検討を行なった。その中で、交雑実生による分析を行なったところ、IDHとFDHは1活性領域、SODについては3活性領域(SOD-1,SOD-2,SOD-3)に分割され、それぞれが2量体支配であることが明らかになった。さらに当場にて保存中の栽培種223、及び野性種9を用いてアイソザイム変異の多様性について検討したところ、IDHでは8FDHでは6、SOD-1では2、SOD-2では4、SOD-3には3つのバンドが確認された。以上のことから従来のGPI-2およびPGM-2の酵素に加えて新規に開発した上記3酵素の多型性も品種鑑別遺伝的多様性の研究などに有用なマーカーになり得ると考える。 これらの結果からブドウ品種の遺伝子型を決定した。芽条変異から選抜した品種は全て同じ遺伝子型を有した。調査した218品種中、他の品種には見当らない独自の遺伝子型を持つ品種はGpi-2で13、Pgm-2で9、Idh-1で3、Sod-1で0、Sod-2で1、Sod-3で0、Fdh-1であった。また、これら7遺伝子座を通じてみた場合、他の品種と識別可能な独自の遺伝子型を有する品種は145であった。 今後、現在追求中の酵素を支配する推定遺伝子座や対立遺伝子について明らかにすることができれば、アイソザイムの遺伝子型による品種の同定はさらに可能性が高くなるものと考える。
|