研究概要 |
平成三年度においては主に蚕の営繭の様子を三次元デ-タとして測定する方法を確立し,実際のデ-タを採取すること,及びグラフィックスワ-クステ-ション上で蚕体の動き及び営繭の様子を表示するシステムの基本設計の二つについて研究を行った。前者に関しては,動いている蚕体の位置を一秒単位で三次元デ-タとして測定する必要があったため,ビデオカメラ二台とパ-ソナルコンピュ-タ-台を用いた測定法を新たに開発した。この方法はビデオディスプレイ上に再生された二方向からの蚕体映像をマウスにより読み取り重み付繰り返し最小二乗法を利用して空間デ-タを再現する方法である。この際,蚕体上にマ-クされた点が読み取れない場合は長方形の範囲を指定する方法を考案した。種々の場合に対する測定の精度に関しても統計的理論的立場から検討し,再現された値に対する95%信頼楕円を与える公式を導くことができた。このように新たに開発した測定法を用いてc131,c124,乞食×大草,鬼縮,琉球多産,天蚕などの営繭行動に関するデ-タを採取することができた。また,このデ-タの処理法に関しては現在考察中である。後者の問題に関しては,購入したグラフィックスワ-クステ-ションのディスプレイ上で実測した蚕体の動きを再現できるソフトウエア-を作成した。このソフトウエア-では営繭の様子を種々の角度から観察することができるようになっている。現在は蚕体を12点を結んだ折線で表示していが,実際の体に近い形で表示する方法を開発中である。さらに,吐糸位置の移動をスプライン曲線で近似して表示したり,蚕体の各節間の角度変化等の特性も表示できるようになった。
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