研究概要 |
(1)コムギ葉およびエンドウ葉を材料に老化葉緑体の単離法について検討を行った。その指標となるクロロフィルa/b比,Cy+f含量について単離葉緑体について調べたところ、葉では成熟葉と老化葉で差がみられるのに対し、精製した葉緑体での差ははっきりしなかった。これらの結果は、老化葉緑体は単離の過程で特に破壊されやすいことを示しており、現在用いている方法の改良が必要である。またCytf含量の定量を正確に行うには、ニトロセルロ-ズ膜を使用したWestern Blottingに代る方法が必要であり、ELIZA法とロケットイムノ法について検討中である。 (2)葉の老化に伴うLHCーIIタンパク質の生成・分解のパタ-ンを調べた。^<15>Nートレサ-実験の結果では老化葉のLHCーIIタンパク質,の^<15>Nの取り込みは2%〜1%と低く、遮光処理により更に低下した。標準区では葉の老化に伴いその含量が除々に減少したが、遮光区での減少はみられなかった。これらの結果はLHCーIIタンパク質は葉の老化と共に一般には減少していくが、弱光下においては、その分解が抑制され、そのレベルを老化後期まで高く維持していることが明らかとなった。 (3)葉の老化に伴う電子伝達系成分の消長を自然光下と20%自然光下で調べたところ、特にCytfが弱光下で減少することが分った。又Cytf含量とCi=600g光合成速度の間には処理によらず一定の関係がみられたことから、両者の間に密接な関係があることが予想された。
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