研究概要 |
急峻なわが国の山岳地において、経済的に考えられる高能率な作業仕組みの考究を目的に間伐材を中心に搬出試験を行った。 1.東大千葉演習林内、梨の木台C10林班(28年生ヒノキ林2ha)の間伐試験地について、タワーヤーダとプロセッサーによって間伐の試験搬出を行った。上げ荷集材で横取り幅を10、15、20、40mの水準で行ったが、地形が急峻なために横取りは困難さをともなった。また手動によりクランプする機構を持つ改良搬機を用い試験集材を行ったが横取りの能率向上に効果があることが分かった。 2.秩父演習林、要倉沢にて杉と桧の大径木のタワーヤーダによる搬出試験を行い、効果を示し,複層林造成に新たな手法を見いだした。ここでは個別の要素作業時間の測定と同時に労働科学的な面からの測定も行った。オペレータ,先山作業を含め従来の作業と比較し労働強度の低下がみられた。 3.全体のタワーヤーダによる搬出作業を通し,作業仕組み、作業功程の測定を行い、本作業仕組みが急傾斜地に於ける搬出作業に,功程の面を含め,極めて効果的であることが分かり、今後のシステム構築のための基礎データとすることができた。尚,適正横取り幅は,材の大きさによって異なるがほぼ5から20mが適切であった。 4.民有林における調査も行い、南足柄市における基盤整備としての路網密度と路網配置さらにタワーヤーダによる搬出システムの提案をした。 5.以上の測定結果に基づきタワーヤーダによる搬出シミュレーションを構築し、適正スパン適正搬出規模等の検討を行った。新たな搬出計画に成果が利用できる。
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