研究概要 |
1.主な公園樹木の壮齢木(カツラ、ケヤキ,メタセコイヤ、シラカシ)の木部圧ポテンシャルの季節変化を調査した。カツラ、ケヤキ、メタセコイヤは日中の木部圧ポテンシャルの値に大きな違いはなく、日中の水ストレスの度合は同程度であると推察された。一方、夜間の木部圧ポテンシャルでは、年によって大きく異なった。このことは、成長期(5月は〜7月)の初めに厳しい水分条件にあうと、盛夏での水ストレスに対する耐性(夜間での水ストレスの回復)の増加がおきる。ポットを用て、乾燥前歴が潅水停止後の水ストレスに及ぼす影響を調査した結果、ケヤキでは短期間の乾燥前歴でも、その後の乾燥に対して葉乾重当りの蒸乾重当りの蒸散量を少なくし、木部圧ポテンシャルを低くすることによって、耐乾燥性を増加させた。街路樹、公園の樹木、半乾燥地の緑化を考える場合、過多な水分供給はひかえ、ある程度の水分ストレスを保つような土壌水分環境しておくことが重要である。 2.木部樹液の無機元素濃度を調査するため、着生枝吸引法と切り枝吸引法にる樹液採取を検討した。夜間の樹液の採取は、降雨後では着生枝吸引圧法で採水できるが、夏の日中での採水は難しく、切り枝吸引法で吸引を高める必要がある。春先の開葉前では、樹液のイオン濃度は著しくたかまり、侵透的水吸収がなされている。本年度の調査では、土壌の交換性、土壌溶液、葉中、樹液それぞれのイオン濃度比に同じ傾向はみられなかった。切り枝吸引法による、ミズキ、ホヤノキ、イタヤカエデ、ウリハダカエデの日中の樹液の季節変化を調査した。樹種間に大きな違いがみられたのは、Mg濃度でホオノキの2ppmから、ミズキの29ppmと15倍の違いがあった。ミズキのK、Mg、SO_4ーSの濃度は他の樹種より高く、ホオノキはK、Ca、Clで最も低かった。この様に、樹種によって樹液濃度が異なっていることがわかった。また、季節的な変動には樹種間の違いは明かでなかった。
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