研究概要 |
1.5年生のカツラ、ケヤキ、シオジ、ミズナラの4樹種を用い、短期間の強い乾燥前歴が、樹木の木部圧ポテンシャル(XPP)と蒸散にどのような影響を与えるか、また樹種によってその影響は異なるのかを調査した。15日間程度で耐乾性を高める前歴の与え方としては、カツラで土壌含水比の40%、シオジで50%処理が有効であると推定された。ケヤキは強い乾燥前歴を持ったことで耐乾性を獲得したが、土壌含水比の50%処理と40%処理では違いが見られなかった。ミズナラは乾燥処理による耐乾性の獲得は明かでなかった。乾燥抵抗の強いミズナラがより大きな乾燥抵抗を獲得するには、より強い乾燥前歴が必要である。 2.都市で主な造園樹木の1本当りの蒸散量の推定法について検討した。高木としてケヤキ、スダジイ、クスノキを,中低木としてヤブツバキ、サザンカ、カナメモチ、ツツジを、地被類として芝、ヘデラを用いた。蒸散量の推定法として、光量子、飽差および蒸散環境変数を用いた。1本の蒸散量を推定するには、蒸散環境変数が最も良いと結論された。裸地の光量子と飽差を測定し、蒸散環境変数を求め、蒸散環境変数の部位別減衰率を用い、回帰式から部位別蒸散量を推定する。その推定値に部位別葉量比を乗じることによって、1本当りの蒸散量を求める。この解析方法は他の方法に比較して、精度の高い推定値を得ることが出来る。 3.1991年に調査した壮齢木の木部圧ポテンシャルの季節変化の調査結果およびケヤキ・ミズナラの乾燥前歴が幼木のXPPに及ぼす影響に関する調査結果をとりまとめ、論文を作成した。
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