研究概要 |
1.モミジバフウ林の現存量とクスサンの食害 林齢23年のモミジバフウ林で,地上部現存量が190.5ton/ha(幹87.9%,枝9.1%,葉2.5%,球果0.5%)と推定された。クスサンが食害する葉量は4.78ton/ha,うち葉身量は4.18ton/haで,一般に考えられている落葉広葉樹類の平均的な葉量と比べて約40%多く,モミジバフウ林が食葉性昆虫類の発生に対し,大きな包容力(抵抗力)を持っていることがわかった。 2.クスサンが発生したモミジバフウ林のリターフォールについて うっ閉したモミジバフウ林(林齢11〜22年)の落葉量は4.31〜5.00ton/ha・yで,その92〜95%が10月下旬から11月上旬に集中している。落枝量は0.26〜1.63ton/ha・y,生殖器官は4.0〜102.2kg/ha・yで年々増加の傾向がみられた。虫糞量は23.0〜2,366.3kg/ha・yで,クスサンの糞が年変動の大きな原因であった。クスサン以外の虫糞量は12.6〜46.2kg/ha・yで大きな年変動はみられなかった。昆虫類の死体は1.7〜47.4kg/ha・yで,クスサンの幼虫,蛹,繭が多く集められた。総リターフォール量は4.14〜6.52ton/ha・yであった。 3.スギドクガに食害されたスギの生育 スギドクガに激害をうけたスギ林の4生育期後の生育状況は半数以上のスギが枯死し,生存しているが梢端がホウキ状に異常に伸長している個体も多かった。生存木の幹成長経過は,まず被害当年から成長減退を示し,翌年の成長量は著しく少なく(被害前の2.8〜11.5%),激害木では4生育期を経過してもまだ成長量を回復していなかった。 4.ラカンマキの摘葉試驗 イヌマキに対するキオビエダシャクの食害の影響を明らかにするためラカンマキを用いた摘葉の結果,一度の全葉摘葉で枯死し,イヌマキの被害を再現することができた。本調査は継続中である。
|