おおむね交付申請書の計画に従って、今年度の研究を行った。現地調査は、研究対象試験地(白谷雲水峡内の白谷試験地)の調査を平成5年6月に行い、これを受けて8月3日〜7日に同試験地の本調査を行った。さらに、10月16日〜19日に追加補足調査を行い、この2回で白谷試験地の現地調査を完了した。その後、本年度が本研究の最終年度にあたるために、試験地に関するの資料の収集および今後の試験地の管理について現地担当営林署と最終打ち合わせを行った。 現地調査は、調査場所が標高1000m付近に位置しているものの、現地付近までの到達は比較的に容易であったが、登山道の変更により試験地への最終到達には時間を要した。前年度の花山試験地と比較すると試験地到達は容易であったが、試験地の位置確定が今後問題となろう。本調査および追加補足調査で得られたデータの整理、集計および分析を行い、その結果、次のことが明らかになった。 1)林分構造(樹種組成および樹高曲線)は、前回の調査時(1974年)とほとんど変化が認められない。 2)樹高曲線は、針葉樹(主にスギ)と広葉樹両方について、これまでの5試験地中で最も低く、特に針葉樹のそれは他の試験地よりもかなり低く、非常に異なった樹高曲線であった。 3)白谷試験地の純成長率と枯損率はともに0.7%で、これまで測定した5試験地の中で最も高い値であった。 4)稚樹については、スギの稚樹は林庄にほとんど認められず、また進界木もまったくなかった。 5)スギの占める割合が5試験地中でもっとも低く、他の試験地とことなった成長パターンを示した。以上の結果は、これまでの測定結果と合わせて、4月に行われる日本林学会で発表する。
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