研究課題/領域番号 |
03454078
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大谷 諄 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001465)
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研究分担者 |
佐野 雄三 北海道大学, 農学部, 助手 (90226043)
船田 良 北海道大学, 農学部, 助手 (20192734)
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キーワード | チロース / ガム物質 / 放射柔細胞 / 軸方向柔細胞 / 日本産広葉樹 / 走査電子顕微境 / 道管 |
研究概要 |
日本産主要広葉樹50種(環孔材15種、散孔材34種、放射孔材1種)の樹幹二次木部の道管のチロースとガム物質の発生、形態、分布を走査電子顕微境を用いて研究した。 1)チロースおよびガム物質が発生しはじめる部位:チロースは23種に存在した。環孔材12種のうち9種の孔圏のチロースは散孔材10種と放射孔材1種よりも早く樹幹外方部で発生した。3種を除く環孔材の孔圏では樹皮から1、2年輪目から発生していた。2種を除く散孔材では辺心材移行部から発生していた。ガム物質は15種に存在した。環孔材3種のうち2種では散孔材12種よりも早く発生した。散孔材では辺心材移行部から発生した。 2)チロースおよびガム物質が由来する柔細胞の種類:放射柔細胞と軸方向柔細胞の両方に由来するチロースは17種に、ガム物質は11種に認められた。 3)チロースおよびガム物質の発生と道管・柔細胞間壁孔の大きさとの関係:4種を除き、チロースが存在した樹種では道管・柔細胞間壁孔の道管側の孔口の長径が5μm,短径が2μm以上であったが、ガム物質が存在した樹種ではそれ以下であった。 4)心材でのチロースおよびガム物質の存在状態と放射組織・軸方向柔組織の型との関係:チロースの存在状態は、(1)泡状、(2)間隔をあけた泡状、(3)チロース壁が密着した1列状、(4)間隔をあけた1列状、(5)崩壊状の5タイプに分けられた。これらのタイプは放射組織の構成及び軸方向柔組織の配列に密接な関係があることが認められた。(1)、(3)、(4)のタイプは多くの樹種に認められたが、接触・随伴型が(1)では最も多く含まれ(1)から(4)へ減少するが、接触隔離・独立型は(1)から(4)へ増加し(4)で最も多くなる。ガム物質の存在状態は、(1)隔壁状、(2)塊状、(3)小滴状、(4)薄膜状の4タイプに分けられた。(1)、(2)、(3)の3タイプは12樹種に認められたが、それらのタイプと放射組織・軸方向柔組織の型との間には明確な関係はなかった。
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