研究課題/領域番号 |
03454081
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂井 克己 九州大学, 農学部, 教授 (30015656)
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研究分担者 |
堤 祐司 静岡大学, 農学部, 助手 (30236921)
近藤 隆一郎 九州大学, 農学部, 助教授 (80091370)
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キーワード | ヒノキ科 / 心材 / ツヤプリシン / ヒノキチオール / 生合成 / トレーサー / メバロン酸経路 / Cupressus lusitanica |
研究概要 |
1.木質化に関与するペルオキシダーゼ 樹木の細胞では心材化に先立って木質化がおこる。木質化の生化学機構のうち、モノリグノールの重合を触媒するぺルオキシダーゼの解明は遅れている。形成層付近の生理的に活発な細胞には、種々の生体反応に関与する多数のペルオキシダーゼアイソザイムが存在する。このうち、広葉樹の木質化を触媒するものはシリンギル核に対する基質特異性が大きいとの作業仮説をたてた。ポプラの培養細胞および若枝から分離したペルオキシダーゼの数画分を用いて、シナピルアルコールおよびコニフエリルアルコールの脱水重合を試みると、前者の反応をよく触媒するアイソザイムが存在することを見出した。なおこの酵素は針葉樹には存在しないことも明らかになった。 2.心材成分の生合成経路 2.前年度の実験で、カルス細胞が生産するヒノキチオールへの^<14>Cメバロン酸のとり込みは非常に低かった。本年度はマロン酸経路の可能性を考慮して、^<14>Cマロン酸を用いたが、ほとんどヒノキチオールに取り込まれないことを確認した。懸濁培養系を確立し、上記同様のトレーサー実験のほか、メバロン酸経路の阻害剤がヒノキチオール合成を阻害することを認め、beta-ツヤプリシンはメバロン酸経路を経て生合成されることを証明した。 3心材成分生合成の鍵酵素の検索 上記の結果にもとづき、カルス細胞及び懸濁培養細胞を、液体窒素で凍結後磨砕して、緩衝液で抽出することにより、モノテルペン生合成に関与する酵素を抽出し、この酵素がエリシターにより誘起されるなら心材化に関与してよいと考えた。この仮説のもとに種々の条件で抽出し、イソペンテニルピロリン酸に及ぼす影響を調査したが、現在までに上記の属性を示す酵素を特定するに至っていない。今後もさらに検討を進めたいと考えている。
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