研究概要 |
ウナギ目魚類は現在、全世界から19科、147属、600種以上が認められ、ウナギ、マアナゴ、ハモ等の重要魚種が含まれている。その葉形仔魚は沖合いから遠洋における魚類プランクトンの主要な成員をなし、大洋における生物生産の重要な役割を果たしていると見られる。ところが、この幼期は親魚と全く異なった柳葉状をしているので、初期生活史研究が最も遅れている分野の一つである。本研究の目的は北西及び中部太平洋におけるウナギ目葉形仔魚の形態、分類、生態、生理等を解明することである。 研究材料は長崎大学水産学部附属練習船長崎丸及び鶴洋丸による採集物、九州大学農学部、水産庁水産大学校、及び水産庁西海区水産研究所の所蔵する標本である。各種の生理実験には主として宮崎県延岡市地先のシラス網によって混獲される葉形仔魚を用いた。標本の観察と水槽実験は現在継続中であるが、これまでに得られた主な結果は以下の通りである。 1.今回観察された葉形仔魚の個体数は約2,000個体で、科別にみると、アナゴ科、シギウナギ科、ハモ科、ウミヘビ科、ウツボ科、ウナギ科等の10科以上で、ニラミアナゴ属、シギウナギ属、ギンアナゴ属、クロシギウナギ属の各種が多かった。 2.ウナギAnguilla japonica,とオオウナギ類A.sarmorata and/or A.celebesensisの産卵場は初夏に、フィリピン東方の海域に形成されると推定した。 3.マアナゴ、ミミズアナゴ、ハモ等の遊泳速度、酸素消費量、耳石輪紋形成要因等について観察した。 4.ハモの天然葉形仔魚種苗による養殖の可能性について明らかにした。
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