研究概要 |
微細藻類の酵素阻害物質に関する研究を行い、以下の成果をあげることができた。 1.酵素阻害物質のスクリーニング:微細藻類111種を5-10L規模で培養し、凍結乾燥藻体を70%エタノール抽出法を用いて試験液を調製後、4種の酵素阻害活性試験に供した。パパイン阻害活性は、幅広い藻種に認められたが、特に顕著な活性を示したものは淡水産藍藻1種のみであった。トリプシン阻害活性は、Microcystis属5株を含む6株の藻種に認められた。キモトリプシン阻害活性で特に強い活性を示したものはなかった。エラスターゼ阻害活性は、淡水産藍藻Nostocに低濃度で活性が認められた。 2.藍藻Microcystis aeruginosaのトリプシン阻害物質:トリプシン阻害活性を示した藍藻M.aeruginosaを大量培養、凍結乾燥藻体248gを80%メタノールで抽出し、溶媒分画、各種クロマトグラフィー、HPLCによりmicropeptin A(1__〜)およびB(2__〜)と命名した環状デプシペプチドを単離した。構造は主にアミノ酸分析ならびに2次元NMRで決定した。Micropeptins A,Bはトリプシンに対しそれぞれIC_<50>=0.071、0.25μg/mLで阻害活性を示した。さらにプラスミンに対してはそれぞれIC_<50>=0.026、0.035μg/mLと非常に強い活性を示した。Micropeptins A,BはタツナミガイDolabella auriculariaから単離されたdolastatin 13と類似性があり、その真の生産者を考える上でも非常に興味深い物質である。
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