研究課題/領域番号 |
03454089
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
越智 正 香川大学, 農学部, 助教授 (00035990)
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研究分担者 |
岡市 友利 香川大学, 学長 (90035965)
多田 邦尚 香川大学, 農学部, 助手 (80207042)
門谷 茂 香川大学, 農学部, 助教授 (30136288)
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キーワード | シスト / 発芽 / 鞭毛腔プランクトン / アミノ酸 / 接合 / シャトネラ / 生活史 / 赤潮 |
研究概要 |
本年度は、東部瀬戸内海で多発する赤潮原因種であるChattonella antiquaのシスト形成時およびその休眠期におけるアミノ酸の量および組成の変化過程について詳細な追跡を行った。その結果、栄養細胞の増殖過程において、一細胞当りのアミノ酸濃度は対数増殖期のものの方が定常期のものに比べて3倍も多いことが分かった。この定常期の栄養細胞をシスト形成培地に接種したたところ、接種後12日目には定常期の2倍量のアミノ酸が一細胞当りに含まれていることが明かとなった。このことは、シスト形成培地中で2個の接合子が接合していることを強く示唆している。これまでの研究ではC.antiquaの明確な接合は報告されていなかったので、今回の結果は今後の研究の発展に資するところが大きいと思われる。この巨大細胞を培地ごと暗所(25℃)に移したところ6日目に初めてシストが確認された。このシストは栄養細胞の2倍量のアミノ酸を含有していた。こうして形成されたシストを10℃の低温条件に移したところ、2カ月目までアミノ酸量は漸増した。しかしながら、2カ月後からは次第に減少しはじめ8カ月目には、栄養細胞のそれと同程度の量まで減っていることが分かった。このように、休眠中のシストでも生合成や分解のような代謝過程が比較的活発に働いていることが明らかになった。シスト中のアミノ酸量の減少の経時変化とシストの発芽実験の結果から,C.antiquaのシストは堆積物中で少なくとも3ー4年は発芽能力を失わないで休眠が可能であることが推測された。このことは、今後のC.antiqua赤潮の発生予知に関する研究にとって大きな意義を持つものである。
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