研究概要 |
森林の気候調節機能に関する研究のため,次の3項目の研究を行った。 森林およびその他の土地利用と地表面温度の関係 1)森林およびその他の土地利用に変化したときの変化予測式をランドサットデータを使用して計算した。この式を使用して、1x1km^2の土地利用面積が森林,畑地などになったと仮定したときの推定地表面温度を算出した。その結果,森林が伐採されて畑地に変化すると,地表面温度は最大4〜5℃上昇すると予測できた。 2)森林の消失に伴う地表面温度の変化 北方森林が消失した場合,地表面温度がどの様に変化するかを,NOAAデータを使用して調べた。データの解析は1987年に発生した中国とロシアの国境地帯の森林火災地について調べた。森林地が焼失すると地表面温度が大幅に上昇し最大6.0℃にもなることがわかった。 3)タイ,カリマンタン,中国地区の気温分布と森林伐採による影響 熱帯雨林としてタイとインドネシアのカリマンタンの熱帯雨林について,「ひまわり」データによって解析した。この解析地区にはメコン川をはさんでラオス,カンボジアがある。タイ地方は熱帯雨林を伐採してしまったのに対して,ラオス,ベトナムは森林が残っている。1990年10月10日7時のデータではタイのコラート高原とラオスの領内では約5〜6℃も気温が異なる。この気温差は先に示した森林地と畑地の地表面温度差とほぼ同じである。 以上3種類の衛星データを使用して森林とその他の土地利用との地表面温度や気温を調べ,森林の気候調節機能を調べた。その結果,地表面温度や気温については最大5〜6℃の差があることが判った。
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