研究概要 |
遲延型過敏症反応(DWR)能及び免疫グロブリンG(IgG)量について,それぞれ高(H),低(L)2方向へ選抜した鶏の系統(DWRーH及びL並びにIgGーH及びL)を用いて,マレツク病ウイルスの接種試験を行い,次の結果を得た。 1.DWRーH及びL系統について,初生時にマレツク病ウイルスを接種し,マレツク病発症率及び死亡率を調べた。8週齢時における死亡率はH系32.2%,L系7.9%で,L系がH系に比べ抵抗性であった。 2.上記の試験で発症した鶏と8週齢時まで未発症であった鶏とについて,DNA型の比較を行った。両者より血液を採取し,DNAを抽出後,種々の制限酵素を用いて切断し,制限酵素断片長多型(RFLP)の分析を行った。H系では発症鶏と未発症鶏のRFLP型に差はみられなかったが,L系ではある特定のバンドがマレツク病の発症と関連していると思われるデ-タが得られた。 3.同じDWR系を用いて,可移植性マレツク病腫瘍細胞の接種試験を行った。接種後7週目の腫瘍の大きさは,系統平均でH系2775mm^2,L系2235mm^2,また腫瘍の発生率はH系85.7%,L系70.6%で,移植された腫瘍に対する抵抗性もL系の方が高かった。 4.マレツク病抵抗性の異なるIgGーH及びL系統を用いて,両系統間で相互に胸腺切除並びに胸腺移植を行い,これらの処置がマレツク病抵抗性に及ぼす影響について分析した。胸腺接除群では両系ともマレツク病抵抗性が減弱したが,移植群では移植された胸腺のもつ本来の遺伝的抵抗性が移植された系統の抵抗性に影響を及ぼすことが見出された。 なお,次年度においてはRFLP型とマレツク病抵抗性との関係について重点的に研究する予定である。
|