研究課題/領域番号 |
03454100
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
星野 貞夫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90024546)
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研究分担者 |
小林 泰男 三重大学, 生物資源学部, 講師 (50153648)
脇田 正彰 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40024575)
粟冠 和郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20154031)
大宮 邦雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60023488)
嶋田 協 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024549)
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キーワード | 繊維性未利用資源 / ルーメン菌 / Ruminococcus albus / プラスミド / Enterococcus faecalis / 接合伝達 / 組換菌 / 山羊 |
研究概要 |
本研究は繊維性未利用資源の有効利用と家畜生産性の向上を最終目標とし、遺伝子組換え技術により機能を高めたルーメン菌を育種後、ルーメン内へ移植することを企画したものである。組換えルーメン菌作出系の開発ならびに組換え菌のルーメン移植後の挙動に関して、以下のような知見を得た。1)遺伝子組換え菌をルーメンへ移植後その消長を観察するため、付与すべきマーカーとして最低3種類の抗生物質耐性マーカー(エリスロマイシン/ストレプトマイシン/リファンピシン)が必要なことがわかった。2)外来遺伝子挿入用ベクターとして、接合伝達能およびエリスロマイシン耐性を有するEnterococcus Faecalis由来のプラスミドpAMβ1に着目した。本ベクターのホストRuminococcus albusへの導入のためのフィルターメイテイング法を確立し、初めてR.albusへの接合伝達とエリスロマイシン耐性遺伝子の発現に成功した。さらにルーメン内への移植後の選択が可能なように、リファンピシン/ストレプトマイシン耐性をもつ自然突然変異体の作製に成功した。ただしin vitro実験によると、導入されたpAMβ1は15世代を経過すると脱落する傾向にあった。3)R.albusの形質転換体を大量培養し、ヤギルーメン内へフィステルを通して移植した。その結果、3種の抗生物質に耐性を示す菌(移植形質転換体)は移植直後にはx10^3/mlルーメン液のオーダーで存在し、37時間後まではほぼ同レベルで維持されていたが、その後は検出できなくなった。この原因として、移植菌の死滅、下部消化管への流出、保有プラスミドの脱落等が考えられた。これらのことから、ホスト菌でより安定なベクターの開発が望まれるとともに、組換え菌がルーメン内で長期にわたり維持され、機能を発揮するには、ルーメン菌の生き残り戦略として知られる"飼料粒子への付着"に関する理解とその積極的な制御が必要ということが示唆された。
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