研究概要 |
甲請者からは、1984年にネコの副腎随質細胞を用い、ムスカリン受溶体刺激によるカテコ-ルアミン分泌は、細胞内に蓄蔵されたカルシウム(Ca^<2+>)によって発現することを初めて提唱した。その後モルモット潅流副腎でもネコと同様の結果が得られることから、ムスカリン受溶体にリンクした細胞内Ca^<2+>ストアは、種を問わず副腎随質細胞に普遍的に存在するものである可能性が考えられた。最近、平滑筋細胞でムスカリン受溶体刺激はイノシト-ル1,4,5ー三燐酸(IP_3)の産生を促し、これがメデイエ-タとなって細胞内ストアからCa^<2+>を放出させて収縮を起こすことが明らかとなってきた。一方カフェインは骨格筋や平滑筋において、Ca^<2+>誘発性Ca^<2+>放出機構を刺激して筋小胞体からCa^<2+>を放出させることが知られている。更にこのCa^<2+>誘発性Ca^<2+>放出は、アルカロイドであるリアノジンによって特異的にブロックされることが報告されている。それ故平成3年度は,ネコとモルモットの潅流副腎とモルモットの副腎随質分離細胞及びウシ副腎随質培養細胞を用いて、カフェンによるカテコ-ルアミン分泌とCa^<2+>濃度の変化について検討し、1)これら副腎随質細胞にもカフェインに感受性を持つCa^<2+>貯蓄部位(ストア)が存在すること、2)カフェインはこのストアからCa^<2+>を動員してカテコ-ルアミン放出を起こすこと、3)細胞外のCa^<2+>とMg^<2+>、特にモルモットとウシではNa^+もこのカフェインの作用に抑制的に働くこと、4)リアノジンはカフェインによるカテコ-ルアミンとCa^<2+>の放出を完全に遮断するが、ムスカリン受容体刺激効果は一部抑制されるに過ぎないことを明らかにした。今後はカフェインとムスカリン受容体刺激に感受性のある細胞内Ca^<2+>ストアが、どの様な細胞下器官であるのか、それらがどの様な細胞内機構で機能を開始するのかなどを調べ、細胞内Ca^<2+>ストアの生理的な意義を解明する積もりである。
|