研究概要 |
画像による数量的解析を行なう対象としての急性ウイルス肝炎モデルとして、マウス肝炎ウイルスMHVー2株より新たに分離したMHVー2S,ー2M,ー21株をICRマウスに接種して、その病原性について検討した。接種されたマウスは各変異括ごとに異った病原性を示し,MHVー2S株接種マウスでは,肝の炎症は小葉間をつなぐいわゆる帯状壊死とこれを取り巻く炎症として発現した。MHVー2M株接種マウスでは病巣は巣状壊死および同部位の炎症で,接種後120時間迄に液巣の拡大は止まり,以後急激に衰退した。MHVー2L株接種マウスでは炎症病巣は接種後48時間以内に形成され、以後消失した。ウイルス抗原の所在はMHVー2S接種マウスではほゞ親ウイルスMHYー2と同様の分布を示し,ほとんど激症肝炎と同じ表現型を持った例では肝全体に抗原が広がっていた。MHVー2M,MHVー2C株接種マウスではそれぞれ顕微微的病変の広がりと一致して抗原の分布が認められた。 慢性ウイルス肝炎は,既に確立されている胸腺欠〓ヌ-ドマウスと持続感染型MHVー2ーCC株の組合せと共に、同じヌ-ドマウスとMHVー2L株の組合せによるものを用いた。前者に見られる慢性肝炎は細胞破壊,炎症の繰返しの再燃と線維化が起りながら進行する型であるのに対し,後者では,極めて緩徐な連続的炎症の進行を主とする慢性炎症であった。 画像処理によりこれらの炎症反応を面積比として表示すると,急性例では直線に近い炎症の拡大が示されたが,MHVー2M感染マウスでは病巣の進行はより複雑な過程をとることが示された。 慢性炎症例では持続感染型および弱毒型の2種のウイルスを用いていることからそれぞれ異なった病型を示し,前者で病変の進行は階段状を示すのに対し,後者では単調増加型の病変の拡大が主された。これらの詳細についての検討は現在進行中である。
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