研究概要 |
急性ウイルス肝炎および慢性ウイルス肝炎モデルとしてそれぞれICRマウスにMHV-2S,-2M,-2Lを接種したもの、BALB/cを背景とする胸腺欠損ヌードマウスにMHV-2cc株を接種したものをもちいた。前者では、とくにリンパ系臓器を中心に検索を進め、胸腺、リンパ節、脾臓におけるリンパ球の動態について調べ、画像解析装置を用いて調べたThy-1,2陽性細胞数と病変の進行度合いが一致し、これら組織の損傷とリンパ球の破壊が肝病変の増悪の一因となることを明らかにした。 肝臓でのウイルス抗原は、感染初期には肝細胞およびKupffer cellの両者に分布し、その後肝細胞に広く認められた。弱毒変異株を用いての検討では、小巣状病巣が形成されてから次第に広く拡大することが明らかにされた。 胸腺欠損ヌードマウスを用いMHV-2S,-2M,-2L接種した実験では、最も弱毒と考えられるMHV-2Lにより慢性感染が認められ、緩徐に進行する病変が作られた。ウイルス価はMHV-2S,MHV-2M感染マウスでは高値を示し致死性が高く、慢性感染実験系には適切ではなかった。病変部の面積の変動を画像解析装置を用いて計測したものでは、その計測値と病変の推移はよく一致し、画像処理による病像の検討の有用性が明らかになった 胸腺欠損ヌードマウスとMHV-2ccの組合せによる実験系を用いたインターフェロン投与に効果についての実験ではウイルス接種と同時からのインターフェロンを連続投与した実験群でウイルス価、肝酵素値、画像解析による病変部面積の一致がみられ、病像の数量的解釈と病変の推移予想を含めた検討が可能になった。
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