研究課題/領域番号 |
03454111
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 伸雄 東京大学, 農学部, 助教授 (60107414)
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研究分担者 |
廉沢 剛 東京大学, 農学部, 助手 (70214418)
西村 亮平 東京大学, 農学部, 助手 (80172708)
中山 裕之 東京大学, 農学部, 助教授 (40155891)
沢崎 徹 東京大学, 農学部, 助教授 (00012047)
竹内 啓 東京大学, 農学部, 教授 (90011874)
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キーワード | 乳牛 / 慢性蹄葉炎 / 蹄底潰瘍 / エンドトキシン / 分娩 |
研究概要 |
前年度の成績から、牛の蹄底潰瘍等の病変は蹄真皮の血行障害に密接に関連しており、蹄の血行障害を誘発する全身的要因の存在が示唆された。そこで今年度はこのような病変を呈する乳牛8頭(罹患蹄12)を用い、罹患蹄ならびに非罹患蹄の病理組織学的検索を実施した。 その結果、罹患蹄では角葉層の消失と高度の真皮の炎症を呈する前年度に定めた分類基準におけるGradeVが31.3%、GradeIVが20.8%と重度病変を呈するものが多かった。また、これらの牛の非罹患蹄においてもGradeIVとVがいずれも19.4%存在し、慢性蹄葉炎と考えられるGradeIIIも30.6%に認められた。これらの値は、屠場から採取したいわゆる護蹄不良の乳牛群における病変比率に比較し、著しく高いことから、本症の発生には、牛の生体内要因も重要な役割を果たしているものと考えられた。 一方、これらの要因の一つとして分娩後の飼養形態の変化に伴い、第一胃で大量に産生されるエンドトキシンが考えられている。そこで分娩後の乳牛10頭に対し、分娩前後の第一胃ならびに血中エンドトキシン量の変化ならびに第一胃のPH、VFA等の変化を検索した。本実験の測定は現在完全には終了していないが、高泌乳牛、すなわち分娩後に高エネルギー飼料をより多く必要とする乳牛においては、血中エンドトキシンがepisodicに上昇を示すように思われた。このことは、分娩後に数回の軽度のエンドトキセミアの発生する可能性を示唆するものであり、きわめて興味深い現象である。しかし、第一胃液エンドトキシン濃度に比較して、血中エンドトキシン濃度はきわめて低く、今後第一胃から血中へのエンドトキシン移行の問題についても検討する必要がある。
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