研究概要 |
1.名古屋大学付属病院での外科手術に際して摘出される人体材料を組織学的に研究して、腸管運動のペースメーカ細胞を見出す試み。第一外科と協力して小児の小腸と大腸をZIO法によって検討することができた(正常および巨大結腸症)。巨大結腸症の腸管にも神経叢は存在することがある。組織、細胞、膜、分子等、それぞれのレベルでの消化管運動機能障害の存在の可能性を考えた。いまだデータ不足であり論文にはできない。 2.「モルモットの小腸と大腸の深筋層神経叢および筋層間神経叢のペースメーカー細胞を培養して、細胞内電極法で形態と機能を明らかにする。」研究は施設の移管手続きの関係で実行できなかった。 3.「レーザー照射によるペースメーカー細胞の性質の変化を研究する。」実験は研究施設の関係で実行できなかった。 4.モノクローナル抗体を用いた実験。ヌードマウス新生仔を用いて、受容体型チロシンキナーゼの癌原遺伝子の一種c-kit遺伝子の産物に対するモノクロナール抗体(ACK2)を使い、巨大結腸症に似た病態をつくり腸管運動のペースメーカー細胞の分化・発達と神経系との関係を探った(Maeda,H. et al.:Development 116:369-375,1992)。 5.イヌの小腸と近位結腸の「ペースメーカー細胞」。電気生理学的に緩徐波が最も典型的に記録されているイヌの小腸と近位結腸で、電顕免疫組織化学的に平滑筋に固有の細胞骨格の存在を検討して、「ペースメーカー細胞」が平滑筋である可能性を確かめた(Torihashi,S. et al.: Amer.J.Physiol.発売予定)。
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