研究概要 |
(1)ギャップ結合特異抗体の作製:ギャップ結合構成蛋白コネキシン族のCx26,Cx32,Cx43,Cx46について,特異的アミノ酸配列の領域部分の合成ペプチドShibal(Cx32:106ー117),2(Cx26:101-119),3(Cx26:46-54),4(Cx32:46-54),5(Cx43:47-55),7(Cx43:107-119),8(Cx46:7-17)を抗原としウサギに抗体を作製した。この抗血清はギャップ結合膜精製ペレットのSDSーPAGE免疫ブロットで特異的に反応することを確認した。 (2)免疫蛍光標識:ラット・モルモット・マウスの各種組織を切り出し,本研究への科学研究費補助金により設置したクライオスタットで凍結切片を作製し,上記ギャップ蛋白抗血清による免疫標識を蛍光顕微鏡観察した。Cx43抗体は心筋の介在板領域と眼球毛様体に強い標識を認めた。Cx32は肝実質細胞間や胃粘膜上皮で強く反応した。Cx26の分布には動物種差を認め,モルモット・マウスでは肝小葉全体に反応を認めたが,ラット成獣では門脈周囲の肝小葉に限局して出現し,新生児では小葉全体に分布を示す時期があった。また細胞外表面領域を認識するShiba3,4,5では通常の状態の組織は標識されず,8M尿素処理により細胞間結合を開裂した後に,対合する膜表面に免疫標識が現われた。 (3)構造多様性の検討:肝細胞において二重免疫標識では,ラット・モルモットのいずれでもCx26の蛍光は常にCx32と重複して標識され,同一細胞ペアの同一ギャップ結合斑に共存することが示された。次に分離ギャップ結合膜ペレットを抗体で標識し,ディ-プエッチしプリカで電顕観察により同一結合斑内での分布状態を調べること,ラットではCx32は均等に分布し,Cx26は密度には程度差が大きいもののやはり均等でいずれも局所に偏在することはなく,ギャップ結合斑のなかでもCx26とCx32が共存する場合には,互に混在していると結論される。
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