研究課題/領域番号 |
03454123
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
藤本 守 大阪医科大学, 医学部, 教授 (70084803)
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研究分担者 |
小寺 邦彦 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (00084905)
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キーワード | OK細胞 / 単離尿細管細胞 / パッチクランプ実験 / Clチャネル / Kチャネル / 細胞内pH / 細胞内Ca / 細胞容積調節 |
研究概要 |
最終年度である本年度は主にパッチクランプ実験によりイオンチャネルの解析をおこない、その調節因子としての細胞内pHやCa^<2+>の影響を検討した。 1.OK細胞による検討: 腎近位尿細管由来の培養細胞(オポッサム腎由来、OK細胞)を用いて、最近クローズアップされて来た陰イオンチャネル、特にCl^-チャネルについて検討した。その結果、inside-out patchではcell-attached patchで見られなかった外向き整流性を示すCl^-チャネルが、約5%のパッチ膜においてみられ、単一チャネル電流は65pSであった。また、whole-cell recordingにおいて、低張処理により著名なCl^-コンダクタンスの活性化がみられ、DIDSにより可逆的に阻害された。さらに最近の結果では、低張処理によるCl^-コンダクタンスの活性化は細胞内のpHによって調節され、酸性化させると抑制され、アルカリ化させると低張処理を行うことなくCl^-コンダクタンスの活性化がみられた。また以前見つけた低張処理後のoutside-out patchにおける単一チャネル電流20pSのCl^-チャネルは細胞内のCa^<2+>により調節を受けている可能性が強い。 2.単離近位尿細管細胞による検討: 食用蛙潅流腎から近位尿細管細胞をコラゲナーゼ処理により単離し、非培養条件にてパッチクランプ法を適用し、電圧固定法により種々のK^+チャネルを同定した。単離細胞の基底膜には、約20pS、70pS、250pSの単一チャネルコンダクタンスを持つK^+チャネルが存在することが判明した。また、70pSの単一チャネルコンダクタンスを持つK^+は、以前同定したOK細胞のK^+チャネルと類似の性質を持ち、細胞内pHの影響を受け、細胞内酸性化で不活性化され、アルカリ化により活性化された。 以上の結果より、腎近位尿細管では細胞膜受容体の活性化に伴う細胞内pHやCa^<2+>の変化が、条件に応じて種々のK^+チャネルや種々のCl^-チャネルの活性を変化させ、イオン輸送の調節やそれに伴う浸透圧変化に対する自己維持活動としての細胞容積調節を行っているものと考えられる。
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