GO/NO-GO課題及び遅延反応課題での前頭葉諸領域のニューロン活動に対するGABAのアゴニストとアンタゴニストの作用をニューロン・レベルで調べる予備段階としての研究で、単純運動反応遂行中の6野及び4野の運動関連ニューロンに対するGABA、ムシモル、ビククリンの作用が明らかとなり、発表された。 遅延反応での研究は、ニューロン活動での解析に至らず、行動実験の解析に留まっている。遅延反応遂行中のサルの46野、8野と6野にムシモル、ビククリン、ファクロフェンを微量注入すると、成積の一次低下がおこり、同時に保続傾向の増大がみられた。この効果は、使用中の同側の脳でも対側の脳でも見られた。使用する手を同側の視野に出す傾向が大となる。 対側の4野の手の領域に、ムシモル、ビククリン、ファクロフェンを注入すると、遅延反応を構成する接近運動の運動時間の延長がみられ、抑制ニューロンの活動のインバランスによるものと考えられる。なお、反応時間の延長はおこらなかった。同様の効果は、薬物を溶かすのに用いているリンゲル液の注入でも、弱いが見られるが、薬を含む効果の方が有意に大きかった。対側の4野の手の領域に、上記薬物を注入する際デジタル電気刺激装置で330H_3、0.1mS、500μA以下、11パルスを、運動野同定のために与えた。 遅延反応の学習中(特定の遅延時間で成積が50〜65%の時)に、ビククリンを46野に注入しても成積の著明な低下はおこらなかったので、GABAAによる抑制ニューロンは課題遂行ヘの積極的関与はないと思われた。
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