GO/NO-GO課題及び遅延反応課題での前頭諸領域(前頭連合野、運動連合野、補足運動野、運動野)のニューロン活動に対するGABAのアゴニストとアンタゴニストの作用をニューロン・レベルで明らかにするのが目的であった。 GO/NO-GO課題を遂行中のサルの運動連合野ニューロン(GO反応及びNO-GO反応を行うときに働くニューロンのみに限った52ヶ)にGABA_Aアンタゴニスト(ビククリン)とGABA_Bアゴニスト(バクロフェン)を電気泳動的に与えた。運動連合野ニューロンはすべて、ビククリンで興奮反応を起こしたが、バクロフェンは75%のニューロンで興奮反応を、25%のニューロンで抑制を起こした。またバクロフェンの抑制反応は、バクロフェンの量を増やすと、量に応じて、効果が強くなった(量依存性効果)。GO反応(キーから手を離す反応)を行うときのニューロンの変化が、ビククリンで興奮、バクロフェンで抑制であるが、NO-GO反応(キーに手を保持し続ける)やGO反応の光信号に応じるニューロン(視覚刺激に応じるニューロン)では、ビククリン、ファクロフェンともに抑制された。GABA_B抑制の視覚性運動遂行に対する役割としては、運動を急速に行えるように働く一過性のニューロン活動の変化を鋭くし、相互性運動を持続させるニューロン活動を持続させる効果があると考えられる。またバクロフェンの興奮効果は、シナプス前性で、また抑制効果はシナプス後性の効果と考えられる。 遅延反応を遂行中のムシモル、ビククリン、バクロフェンとファクロフェンの効果については今年度後半にサルを実験殺し、薬物注入場所の同定がほぼ終了したので、論文として発表できる段階に来た。来年度中に2-3編の論文発表(インパクトファクター3以上のもの)を行う。
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