研究概要 |
1.研究成果の概要 (1)培養マウス腹腔マクロファージ(Mφ)はwhole-cell clamp下でアドレナリン(Adr)の微少量投与により膜コンダクタンス増大を伴う外向電流(I。(Adr))を発生することを見出しその発生機序を解明した(平成3年度)。 (2)平成4年度に入り、MφのAdrー応答の発生機序に関しその細胞内情報伝達機構の解析に焦点を絞り、細胞内Ca^<2+>濃度の計測を行い詳細に解析した結果、Adrー応答はα_1-adrenoceptor-G蛋白質-IP_3-Ca^<2+>放出の結果、K^+チャネルの活性化によることが判明し、Mφの重要な生理機能であるphagocytosisの維持に重要な役割を持つ可能性がある。 (3)一方、免疫細胞の産生物質の一つである腫瘍壊死因子(TNF)を神経細胞に微少量投与して発生する膜コンダクタンス減少を伴う内向電流(I_1(TNF))の記録に成功し、その発生機序に関してイオン置換実験、薬理学的実験等の解析の結果、I_1(TNF)はK^+conductance減少により発生することが判明した。このように免疫情報物質(サイトカイン)が直接神経細胞に作用し、その発射パターンを調節し得ることを膜レベル、チャネルレベルで明らかにした。 (4)さらに神経細胞のアセチルコリン(ACh)ー応答(K^+コンダクタンス上昇による)がサイトカイン(IL-1,IL-2,TNF)により抑制性の修飾を受けることを見出し、その修飾作用についてさらに詳細な解析を現在進めている。 2.成果の達成度 (1)MφのAdrー応答の細胞内情報伝達機構を年度内に解析できた。平成5年度でこのAdrー応答とMφのphagocytosisとの機能的連関の解析に取り組む。 (2)神経細胞のTNFー応答については年度内に解明できたが、サイトカインの化学受容器を介する修飾作用についてさらに詳細な解析が必要である。
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