平成3年度にわれわれは、バキュロウイルスベクターを用いたbFGFの生合成法ならびに精製法を確立したが、FGFの精製には、ヘパリンに結合するといった性質を利用しているために、ヘパリン結合領域を削った修飾型FGFでは精製に困難さが予想された。そこでこの問題点を克服するために本年度は、マルトース結合タンパク質(MBP)にFGFの遺伝子を融合しN端にMBPを持つFGFを作製し、マルトースとMBPの親和性を利用してMBP-FGF融合タンパク質を精製し、その後MBPとFGFをプロテアーゼで切り離すことにより精製された修飾型FGFを得るといった方法を確立した。 この方法を用いて線維芽細胞増殖活性をもつヒトaFGFの産生に成功した。これを用いて海馬錐体細胞層より記録されるポピュレーションスパイクの長期増強(脳切片を用いる)を指標とする修飾型FGFのスクリーニングを確立した。
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