研究概要 |
この研究の目的は脱水により強い口渇が誘発されている被験者を頚下浸水させてADH、アルドステロン、ANP、心拍出量をび血液量と、飲水量及び口渇の消失との相互関係を解析し、ヒトの飲水行動を解明することであった.実施した実験は次の通りである.即ち健康な男子被験者8名を使い65%最大運動量(自転車エルゴメ-タ)を2時間負荷して脱水状態を作成した.被験者を1時間安静(コントロ-ル期)にした後頚浸下水を3時間行った.再び1時間安静(回復期)を保った.被験者には水を自由に摂取させ飲水量と口渇度を記録した。結果は次の通りでる. 1.飲水量と口渇度は頚下浸水によって明らかに域少した. 2.血液の電解質濃度及び浸透圧は脱水によって明らかに上昇するが、頚下浸水によって口渇感が消失しても高値のままであった. 3.循環血液量は浸水中増加するが正常群では、直ちに回復した.脱水群では頚下浸水中増加したままであった.血液量の変化は尿量に反比例し、浸水時に利尿が起こらないと循環血漿量が増加したままである事が判明した. 4.血液のADHは脱水群では非常に高値であり、飲水によっても浸水によっても直ちに低下した.アルドステロンは頚下浸水中低下し脱水状態とは無関係であった.ANPは頚下浸水中全群上昇した.心拍出量も頚下浸水中は上昇する事から、中心血液量は脱水状態に関わらず、頚下浸水によって増加する事が判明した. 以上に結果から脱水時のヒトの飲水行動を制御する因子は血液の浸透圧ではなく、それ以外の因子、血液量や圧受容器、及びAVP,ANP等の可能性が強い事を示した.今後腎機能との関連において研究を進める予定である.
|