研究課題/領域番号 |
03454143
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 勝年 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
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研究分担者 |
粕谷 善俊 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70221877)
斉藤 亜紀良 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40137708)
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キーワード | 血管拡張神経 / 骨格筋強縮 / 知覚神経 / 血流増加反応 / 血管内皮細胞 / CGRP / エンドセリン |
研究概要 |
骨格筋が運動すると、その筋への血流量が増加することが知られている(PTH:post-tetanic hyperaemia)。この機構には、従来アデノシン等が関与しているらしいことが示唆されてきたが、その詳細は殆ど分かっていない。本研究では、麻酔下のラットを用い、座骨神経を電気刺激して後肢の骨格筋に強縮(tetanus)を起こさせ、大腿動脈にセットしたレーザードップラー血流計によって大腿部への血流を測定する方法を開発し、PTHの機構を解析してきた。神経・筋遮断薬のツボクラリンにより、骨格筋の強縮と同時にPTHも消失したことから、骨格筋の収縮そのものが必要不可決であることが窺える。強縮は影響されない程度の少量の局所麻酔薬によりPTHが抑制されたことから、この現象にはおそらく細い無髄の神経(知覚神経など)の興奮が関与していることが示唆された。知覚神経の末梢端にはスブスタンスPやカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)などが貯蔵されており、神経興奮によって遊離されることが知られている。CGRPは強力な血管拡張作用を有しており、骨格筋の強縮によって知覚神経が興奮すればCGRPが遊離され、周辺の血管拡張が惹起される可能性が考えられる。事実、強縮後の静脈血中のCGRP濃度を測定してみるとそれが有意に上昇していた。血管内皮細胞由来の活性物質(プロスタグランジンやEDRFなど)の関与についても検討したが、否定的であった。以上より、骨格筋のPTHには知覚神経末梢端から遊離されるCGRPが深く係わっていることが示された。 その他、骨格筋や心筋における微小循環系の調節にも、エンドセリンばかりでなくCGRPが関与している知見を得ている。又、消化管粘膜下に微量のエンドセリンを局所投与することによる胃潰瘍モデルを作成することに成功したが、この微小循環系にもやはり内皮細胞とCGRP系が関与していることを示唆する情報を得ている。
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