分泌機構の分子レベルでの解明

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03454144
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 野々村 禎昭 東京大学, 医学部(医), 教授 (80009993)
• キーワード: ゲルゾリンファミリー / 74KDa蛋白質 / 開口分泌 / ワルトマンニン / ミオシン軽鎖キーゼ / PC-12細胞 / ドーパミン放出 / P_2レセプター

研究概要

すでに我々は副腎髄質からゲルゾリンファミリーの74kDa蛋白質を精製し種々の性質を決めた。さらに抗体を作製し各組織でイムノブロット法でその局在を求めたところ、神経細胞、内分泌細胞のうち開口分泌を行う細胞に存在することがわかり、開口分泌時Ca^<2+>上昇でこの74KDaが活性をもち、アクチンフイラメントを切断することが考えられる。一方、すでに決めた部分配列をもとにRTPCRを利用してcDNAクローニングに成功した。すでに開口分泌にアクチンミオシンが有効に相互作用して働いていることが、我々が発見したMLCK(ミオシン軽鎖キナーゼ)特異的抑制薬Wortmanninを用いて種々の細胞で確かめられてきたがPC-12細胞でATPのP_2レセプター刺戟によるドーパミン放出がWortmanninで抑制されること、刺戟時の15秒後にミオシンアクチンの局在がドット状に動くが60秒では膜直下に戻ってしまうこと、PC12細胞に74KDaが多数存在することからドーパミン放出にアクチンミオシン相互作用が働くことが示された。

研究成果

• [文献書誌] Yuno,H.…Nonomura,Y.& Matsuda,Y.: "Inhibition of histamine secretion by wortmannin through the black of phosphatidylinositol 3-Kinase in RBL-2H3 cells" Journal of Biological Chemistry. 268. 1-11 (1993)
• [文献書誌] Nonomura,Y.: "Multifunctional role of myosin molecules in various Kinds of cells" Biomedical Research. 14. 107-112 (1993)
• [文献書誌] Ohmi,K.,Yamashita,S.,Hashimoto,Y.& Nonomura,Y.: "Induction of giant endothelial cell in culture by K-252a,a protein Kinase in hibitor" Japanese Journal of Pharmacology. 63. 195-202 (1993)
• [文献書誌] Nakayama,H.,…Nonomura,Y.& Kurokawa,Y.: "A topological study of the electroplax sodium channel with site-directed antibodies" Biochim Biophysic Acta. 1145. 130-140 (1993)
• [文献書誌] Nakamura,S.Sakurai,T.& Nonomura,Y.: "Differential expression of bovine adseverine in adrenal gland revealed by in situ bybridization" Journal of Biological Chemistry. (in press). (1994)
• [文献書誌] 野々村禎昭.祖父江憲治: "新生化学実験法講座10“血管-内皮と平滑筋"" 東京化学同人・東京, 497 (1993)