1992 年度実績報告書

脳Cl^-ポンプの精製と活性部位蛋白一次構造の解析

研究課題

研究課題/領域番号	03454148
研究機関	関西医科大学
研究代表者	稲垣千代子関西医科大学, 医学部, 教授 (60025640)
研究分担者	瓜生斗支子関西医科大学, 医学部, 助手 (40203608) 原満良関西医科大学, 医学部, 助手 (50192282) 井上雅史関西医科大学, 医学部, 講師 (90203257) 大谷ひとみ関西医科大学, 医学部, 助手 (40140272) 大森京子関西医科大学, 医学部, 講師 (90152256)
キーワード	Cl^--ATPase / クロライドイオンポンプ / 脳 / エタクリン酸
研究概要	本年度研究実施計画に添って実験を進め、次の成果を得た。 1.Cl^--ATPase再構成によるCl^-輸送形式の検索:MEGA-10により可溶化したCl^--ATPaseをレシチン+PIP_2膜顆粒に再構成し、ATP依存性Cl^-輸送活性を検出した。この輸送活性は40mM K^++バリノマイシンまたはH^+イオノフォア存在下で上昇し、Cl^--ATPaseはCl^-を起電的に輸送することが示された。 2.Cl^--ATPase蛋白に対する抗体の作製:前年度までに確立したCl^--ATPase分離法により520kDaのCl^--ATPase蛋白を調整し、家兎に免疫して抗血清を得、硫安分画法によりIgG分画を調整した。本抗体はCl^--ATPase活性を抑制し、アニオン非感受性Mg^<2+>-ATPase活性には影響を与えなかった。従って本抗体はCl^--ATPaseの活性部位近傍に結合するものと推定される。 3.Cl^--ATPaseサブユニットの分離同定:上記520kDaをSDS-PAGEにより展開し、110kDa,97kDa,67kDaおよび47kDaのサブユニットを得た。[^<32>P]-ATPにより47kDaペプチドがリン酸化され、このリン酸化はCl^-存在下で増強され、さらにCl^--ATPase阻害剤であるエタクリン酸により増強された。また上記抗体は47kDaペプチドを認識した。これらのことから47kDaペプチドは、Cl^--ATPaseのATP,Cl^-およびエタクリン酸結合部位を含むサブユニットである可能性が高い。 4.Cl^--ATPase活性部位サブユニットの蛋白一次構造:Cl^--ATPase47kDaサブユニットのN-末端は閉鎖されており、N-末端からのアミノ酸配列決定は困難であった。現在、トリプシン処理後のペプチドフラグメントについて、そのアミノ酸配列決定を試みている。

研究成果
(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] Hara,m.: "Uneven distribution of intracellular Cl^- in rat hippocampal neurons" Neuroscience Letters. 143. 135-138 (1992)
[文献書誌] Inoue,m.: "Ethacrynic acid-induced convulsions and brain neurotransmitters in mice" European Journal of Pharmacology. 221. 135-137 (1992)
[文献書誌] Ohnishi,S.: "Delayed shortening and shrinkage of cocklear outer hair cells." American Journal of Physiology. 263. C1088-C1095 (1992)
[文献書誌] 稲垣千代子: "(総説)神経細胞内クロライドイオン濃度の制御系とその人工修飾" 日本薬理学雑誌. 99. 307-315 (1992)
[文献書誌] Hirose,T.: "Enflurane-induced release of an exctatory amino acid,glutamate,from mouse." Anethesiology. 77. 109-113 (1992)
[文献書誌] Otani,H.: "Different patterns of protein kinase C redistrirution mediated by α_1-adreneecptor" British Journal of Pharmacology. 107. 22-26 (1992)
[文献書誌] Inagaki,C.(分担): "Eleetrogenic chloride Transporters in Biological Membranes." Springer-Verlag, 20 (1993)
[文献書誌] 稲垣千代子(分担): "実験医学:膜電位依存性Cl^-チャネル(イオンチャネルとレセプター)" 羊土社, 6 (1992)

1992 年度 実績報告書

脳Cl^-ポンプの精製と活性部位蛋白一次構造の解析

研究代表者

稲垣 千代子 関西医科大学, 医学部, 教授 (60025640)

研究成果

[文献書誌] Hara,m.: "Uneven distribution of intracellular Cl^- in rat hippocampal neurons" Neuroscience Letters. 143. 135-138 (1992)

[文献書誌] Inoue,m.: "Ethacrynic acid-induced convulsions and brain neurotransmitters in mice" European Journal of Pharmacology. 221. 135-137 (1992)

[文献書誌] Ohnishi,S.: "Delayed shortening and shrinkage of cocklear outer hair cells." American Journal of Physiology. 263. C1088-C1095 (1992)

[文献書誌] 稲垣 千代子: "(総説)神経細胞内クロライドイオン濃度の制御系とその人工修飾" 日本薬理学雑誌. 99. 307-315 (1992)

[文献書誌] Hirose,T.: "Enflurane-induced release of an exctatory amino acid,glutamate,from mouse." Anethesiology. 77. 109-113 (1992)

[文献書誌] Otani,H.: "Different patterns of protein kinase C redistrirution mediated by α_1-adreneecptor" British Journal of Pharmacology. 107. 22-26 (1992)

[文献書誌] Inagaki,C.(分担): "Eleetrogenic chloride Transporters in Biological Membranes." Springer-Verlag, 20 (1993)

[文献書誌] 稲垣 千代子(分担): "実験医学:膜電位依存性Cl^-チャネル(イオンチャネルとレセプター)" 羊土社, 6 (1992)

1992 年度実績報告書

稲垣千代子関西医科大学, 医学部, 教授 (60025640)

[文献書誌] 稲垣千代子: "(総説)神経細胞内クロライドイオン濃度の制御系とその人工修飾" 日本薬理学雑誌. 99. 307-315 (1992)

[文献書誌] 稲垣千代子(分担): "実験医学:膜電位依存性Cl^-チャネル(イオンチャネルとレセプター)" 羊土社, 6 (1992)