研究概要 |
ラット18日胚から取った大脳皮質初代培養細胞を7日間培養したものを用い,培養液を捨てた後,[gamma-^<32>P]ATPを入れた反応液を細胞外に加えた。この時,脱リン酸化反応によるラベルされたリン酸のターンオーバーを防ぐためにphosphatase inhibitor calyculin Aを加えた。さらにリン酸化反応の阻害効果を見るためにK-252b添加と無添加群を用意した。このような反応液に替えて,2分半,5分,10分のそれぞれの時間,インキュベートした後,SDSで反応を止め,タンパクを可溶化,電気泳動を行った。このゲルを乾燥後,イメージングプレート(富士フィルム)に一晩程度露光し,イメージングアナライザーBAS2000により解析した。これにより,リン酸化されたバンドのパターン及び,各バンドに取り込まれたラベルの絶対量を得,さらに解析を加えた。 多数のバンドがほぼ3つのグループに分けられた。Ki値を<1muM,1muM,〜2muM,2muM<で区切ると,K-252bに高感受性(Ki<1muM)に分類されるバンドグループは,K-252bによってシナプス形成が阻害される原因となるリン酸化を受けているタンパクの可能性が高いと考えられた。以上のように,リン酸化の見られた各バンドを,リン酸取り込みの初期速度と,K-252bに対する感受性の2点について分類した。このうち,初期速度が速く,K-252bに対する感受性が高いバンドは,エクトプロテインキナーゼの基質となっている可能性が高いと考えられる。
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