ホスファチジルイノシト-ル3ーキナ-ゼ(PI3キナ-ゼ)は細胞増殖因子やチロシンキナ-ゼをコ-ドする癌遺伝によって活性化され、全く新しいイノシトールリン脂質を産生する。本酵母には110KDaと85KDaの2つのポリペプチドより成るへテロダイマ-型と110KDaのみより成るモノマ-型があることを見つけた。更に、110KDaに触媒作用があり85KDaには、SH_2、SH_3領域があることもわかってきた。PI3キナ-ゼの生理的役割を明らかにするため、85KDa(p85)の抗体を作成し、PI3キナ-ゼとアソシエ-トする蛋白を発見しようとした。ラット3YI細胞を可溶化しp85抗体で免沈したところ、1 10KDa、85KDaのPI3キナ-ゼの他に200KDa、100KDa、42KDaの蛋白が共沈してきた。42KDaはアクチンであること、200KDaはミオシンであることがわかった。100KDa蛋白はαーアクチニンであることをーαアクチニンの抗体で証明した。p85のどの部位にαーアクチニンが結合するのかを調べるため、p85の各部分のコンストラクトを大腸菌に発現させ蛋白を取り、sepharoseビ-ズに結合させた。ニワトリ砂嚢より精製したαーアクチニンを流してp85のどの部位に結合するかを調べたら、SH_3領域とのみ結合することがわかった。これらの結果よりαーアクチニンはp85のSH_3領域に結合して細胞骨格系に分布すると考えられた。
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