研究課題/領域番号 |
03454165
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
林 豊 千葉大学, 医学部, 教授 (00009094)
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研究分担者 |
廣島 健三 千葉大学, 医学部, 助手 (80218833)
河野 俊彦 千葉大学, 医学部, 助手 (50092052)
大和田 英美 千葉大学, 医学部, 助教授 (30009625)
藤村 真示 千葉大学, 医学部, 教授 (80143270)
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キーワード | 肺癌 / 肺癌多発地域 / 過形成巣 / 増殖巣 / 犬の肺癌 / 核小体形成領域 |
研究概要 |
肺癌の多発地域の一つとして、沖縄県の人の肺を病理組織学的に検索し、末梢の上皮の過形成巣が存在することに着目してきた。 これまで入手しうる限りの症例を蒐集し、肺癌の手術例の肺205例中、29例(14%)に病巣を認め、さらに新な手術例43例を調べ、8例(18.6%)にそれを認めた。加えて琉球大学病理解剖例33例の肺から13カ所を区域別に精査すると、その15例(45.5%)の肺の何れかの部位に病巣が認められ、特定の好発部位はないが、右肺のS8(Segmentum ventrobasale)にやや多い傾向がみられた。病巣は加令とともにより程度の強いものの割合が増加し、高齢者に強い変化がみられたことは、病巣の増加には加令が関与する可能性を示している。核小体形成領域の計測を行うと、ほぼ尋常とみられる気管支、細気管支上皮細胞、過形成巣の上皮細胞、および肺癌細胞の各々の平均は、1.23、1.51、2.94であり、細胞の活性の増加を示唆していた。 この病巣の発生原因を推定する目的で、まずこの地方の野犬の肺を検索すると、現在まで調べた82頭中、2例の肺に癌が認められ、1例は腺癌で、もう1例は未分化の配列を示す癌であった。犬にはまた、人の肺の過形成巣に類似した変化が6頭にみられ、内2例は癌の例に共存していた。 沖縄県における人、および犬の肺に末梢上皮の過形成巣が多発していることが明らかである。この変化を前癌状態と考えることは早計であるが、上皮細胞の増殖の傾向としては癌と共通しており、外因、内因の両面から追求することが重要であると考える。
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