研究課題/領域番号 |
03454165
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
林 豊 千葉大学, 医学部, 教授 (00009094)
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研究分担者 |
廣島 健三 千葉大学, 医学部, 助手 (80218833)
石橋 正彦 千葉大学, 医学部, 助手 (10241952)
大和田 英美 千葉大学, 医学部, 助教授 (30009625)
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キーワード | 肺癌 / 肺癌多発地域 / 過形成巣 / 増殖巣 / 犬の肺癌 / 沖縄県 |
研究概要 |
前年度までに沖縄地域の人の手術例(肺癌例)および剖検例(大部分は非肺癌例)の肺に、末梢上皮の過形成巣が多発していることを報告した。検索対象は、試行時の例を加えて手術例260例、剖検例33例となったが、本年度は剖検例(琉球大病理)95例を加え、さらに肺癌死亡率の低い千葉地域の手術例(千葉大肺研)96例、本州における肺癌多発地域の長崎県の剖検例(長崎大病理)100例の肺について検索した。外因を検討する立場から、沖縄地域の野犬を前年度に調べて肺癌が発見されたので、さらに73頭の肺の各葉について精査した。 [結果]過形成巣はその大きさにより軽度(H-I)、中等度(H-II)および高度(H-III)に分け、H-IIIで細胞に異型性を伴わないH-III_aと伴うH-III_bに区別した。本研究ではH-Iを陽性例から除外した。 1.琉球地剖検例:95例中、、28例(29.5%)に過形成巣が認められ、肺区域(左6、右7カ所)別にみた病巣の分布に特徴はみられず、病変は肺内に広く分布していた。 2.千葉地域手術例:96例中8例に過形成巣が認められ、その発生頻度は沖縄例に比べて明かに低率であった。 3.長崎地域剖検例:100例中、過形成巣を認めた症例は8例(8.3%)に過ぎなかった。加えて、沖縄例に比べて程度の軽い過形成巣が多くみられた。 4.沖縄地域の野犬:73頭の今回の検索では肺癌例は認められなかった。 [まとめ]沖縄地域の人の肺に多発する過形成は、長崎地域にとくに多発せず、この病巣の多発は沖縄に特有であった。前年度に沖縄地域の野犬に肺癌が多発する可能性が推定されたが、本年度はさらに頭数を加えて調べた結果その可能性が否定された。
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