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1991 年度 実績報告書

ヒト甲状腺癌(特に低分化癌)の分子病理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 03454166
研究機関東京大学

研究代表者

坂本 穆彦  東京大学, 医学部(医)・病理学教室, 助教授 (50215654)

研究分担者 椙村 春彦  浜松医科大学, 病理学教室, 助教授 (00196742)
土橋 洋  東京大学, 医学部・病理学教室, 助手 (90231456)
キーワード甲状腺癌 / 免疫組織化学 / p53遺伝子 / 染色体
研究概要

今年度、我々はヒト甲状腺癌に関して、免疫組織化学を中心とした病理形態学、p53遺伝子をタ-ゲットとした分子病理学、並びに染色体分析による細胞遺伝学の3方面から研究を進めた。
本研究の目的は我々は提唱し、病理学的には広く認められた低分化癌を含めた甲状腺癌各種病型における臨床病理学的生物学的特性の究明にある。
免疫組織化学的検討では、以下の結果を得た。Thyroglobulinは従来報告されてきたように高分化癌ではほぼ全例で陽性、未分化癌ではほとんどが陰性、低分化癌では約40%が陽性であった。PCNAでは高分化癌、低分化癌の合計陽性率が20%、未分化癌では60%と有意な差を得た。またcーerbBー2でも高分化癌が16%、低分化癌19%、未分化癌30%と、分化度との逆相関を認めた。これらの結果から、種々の免疫組織化学マ-カ-は組織型とある程度密に関連し、また、低分化癌の存在もより確実なものとして促える事ができた。
p53遺伝子蛋白の検討では、変異型蛋白の発現と組織型とが逆相関する事が明らかとなった。免疫組織化学的染色で、その発現を調べると乳頭癌で33例中4例(12%)、濾胞癌17例中3例(16%)、低分化癌9例中4例(44%)、未分化癌8例中5例(52%)と、分化度が低いものほど発現率は高かった。症例数が不十分であるため、この差異に統計学的有意差はないが、こうした結果は現在まで報告されていない。
またp53遺伝子に関しては未分化癌の1例で、エクソン7に点突然変異が1ヶ所認められたが、乳頭癌2例ではエクソン5ー8のいずれにも認められなかった。
染色体分析は東京医科歯科大・細胞遺伝学教室と共同で平成3年12月より開始したところである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 坂本 穆彦,森 正也,馬場 紀行,高橋 かほる,山崎 善弥: "甲状腺乳頭癌の組織学的細分類とリンパ節転移" 癌の臨床. 37. 101-105 (1991)

  • [文献書誌] 坂本 穆彦: "甲状腺癌の病理診断" 病理と臨床. 9. 485-486 (1991)

  • [文献書誌] 土橋 洋,柴田 龍弘,川淵 紅代: "パラフィン切片からのDNA抽出" 検査と技術. 20. 57-62 (1992)

  • [文献書誌] Dobashi Y,Stern D.F.: "Membraneーanchored forms of EGF stimulate focus formation and intercellular communication" Oncogene. 6. 1151-1159 (1991)

  • [文献書誌] 森 正也,坂本 穆彦: "甲状腺乳頭癌濾胞亜型の免疫組織化学的検討" 癌の臨床. 38. (1992)

  • [文献書誌] Mernyei M,Sakamoto A: "An immunohistochemical evaluation of histological grading of thyroid cancer" Virchows Archives A.

  • [文献書誌] 坂本 穆彦: "腫瘍鑑別診断アトラス・甲状腺" 文光堂, 174 (1991)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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