研究課題/領域番号 |
03454174
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
秦 順一 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (90051614)
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研究分担者 |
山田 健人 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (60230463)
梅澤 明弘 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (70213486)
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キーワード | ヒト胚細胞腫瘍 / 分化抗原 / モノクロ-ナル抗体 / レチノ-ル酸 / HSP 90 / ヒト胎盤性ゴナドトロピン / ヒトEC細胞 / サブトラクション・ハイブリダイゼ-ション |
研究概要 |
本年度は、われわれが新たに樹立したヒト胎児性癌細胞(以下、ヒトEC細胞)、NCRーG2、G3細胞を用いて、以下の研究を行なった。1)ヒトEC細胞の分化の指標となる分子を新たなモノクロ-ナル抗体によって確立する。2)分化誘導系を確立し、その分化能を蛋白レベル、RNAレベルで解析する。3)分化初期に関与する遺伝子の単離を試みる。その結果、1)G2細胞を免疫原にして3種のヒトEC細胞に特異的な抗体を樹立した。これらは細胞膜蛋白を認識し、分化によって消長する分化抗原であることが判明した。2)G2、3細胞に対するRetinoic acid(RA)およびHexamethyleneーbisーacetamide(HMBA)の投与による各種の分化抗原の発現の解析を行なった結果、G2細胞はRAに反応しなかったが、HMBAによって細胞表面抗原の発現、ヒト胎盤性ゴナドトロピン(hCG)の産生などが認められた。一方、G3細胞はRA、HMBAで各種細胞表面抗原、筋肉および神経特異蛋白質の発現、hCGの産生など極めて高次な分化能を有していることが明らかとなった。3)高度の分化能を示すG3細胞のRAによる分化初期に関連する遺伝子を単離するため、サブトラクション・ハイブリダイゼ-ションを行なった。その中で、3種の遺伝子についてホモロジ-検索の結果それぞれ、90KDのheat shock proteinの遺伝子(hSP90)、ヒトのrepetitive sequenceであるlinelおよび今のところ相同性の見られない未知の遺伝子(クロ-ン♯1002)であることが判明した。これらの遺伝子がヒトEC細胞の分化にどのように関連しているかを詳細にすることを来年度の最重要課題にしたい。
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