研究課題/領域番号 |
03454177
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
池原 進 関西医科大学, 医学部, 教授 (90108986)
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研究分担者 |
比舎 弘子 関西医科大学, 医学部, 助手 (90151422)
土岐 純子 関西医科大学, 医学部, 助手 (40077681)
長田 憲和 関西医科大学, 医学部, 講師 (40155940)
安水 良知 関西医科大学, 医学部, 講師 (00142753)
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (70115947)
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キーワード | 骨髄移植 / モデル動物 / 自己免疫疾患 / 慢性腎炎 / インスリン非依存型糖尿病 / 免疫血小板減少症 |
研究概要 |
モデル動物を用いて、骨髄移植によって次のような事実が明かになった。i)インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)のモデル動物KK‐Ayマウスを用いて、NIDDMは、膵移植なしで骨髄移植のみで治療が可能である。ii)慢性腎炎の中で、ステロイド抵抗性の腎炎の1つであるFocal segmental glomerular sclerosis(FSGS)のモデル動物FSGSマウスを用いて、FSGSに正常のマウスの骨髄を移植すると治療できること、逆に正常マウスに、FSGSマウスの骨髄(部分精製幹細胞)を移植することによって、正常マウスにFSGSが誘導できる。すなわち、慢性腎炎は、臓器特異的自己免疫疾患で、stem cell disorderと考えられる。iii)SLEのモデル動物(NZB × NZW)F1マウスを用いて、骨髄移植によるループス腎炎治癒機転を解析し、donor由来の細胞の分化と腎糸球体の病変を生検により経時的に観察した。B細胞やマクロファージが分化してくる時期には、腎病変は全く改善されないが、donor由来のT細胞が分化してくる時期に一致して病変が改善されたこと、すなわちマクロファージの免疫複合体の貧食処理能の活性化が認められることを明かにした。それ故、骨髄移植により、糸球体の病変が修復される上に、正常の機能を有するT細胞の分化が一番重要で、おそらくT細胞からのサイトカインにより、マクロファージや糸球体の上皮が活性化され、病変が修復されるものと思われる。iv)当教室で発見したImmune thrombocytopenic purpura(ITP)のモデル動物(NZW × BXSB)F1マウスを用いて、ITPの治療に脾剔やステロイドホルモンの投与が人で行われているが、その作用機序を解析した。抗血小板抗体の付着した血小板は、主として脾でマクロファージによって貧食されるが、脾剔のみでは、一過性の血小板数の回復を示すに過ぎず、これは肝のクッパー細胞でも処理されるためであることが判明した。一方ステロイド投与は、マクロファージの貧食能を抑制するだけでなく、自己抗体の産生を抑制することが明かになった。
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