研究分担者 |
比舎 弘子 関西医科大学, 医学部, 助手 (90151422)
土岐 純子 関西医科大学, 医学部, 助手 (40077681)
長田 憲和 関西医科大学, 医学部, 講師 (40155940)
安水 良知 関西医科大学, 医学部, 講師 (00142753)
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (70115947)
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研究概要 |
(1)放射線抵抗性の異常な幹細胞を有するMRL/1prマウスでは、9.5Gyの^<60>Coを照射し、正常なマウスの骨髄を移植しても、3カ月以降になると、MRL/1prマウス由来の残存していた幹細胞より、異常なT細胞、B細胞、マクロファージが出現し、自己免疫疾患が再発して来る(Proc.Natl.Acad.Sci.86:3306-3310,1989)。そこで、pluripotent hemopoietic stem cells(PHSC)を精製する方法を開発し、PHSCの分化、増殖をin vitroで解析した結果、PHSCが、増殖分化するためには、骨髄の微小環境構成細胞(stromal cells)が必須であること、さらに、骨髄移植(BMT)の際、PHSCとstromal cellsとのMHCが一致している方が、PHSCが増殖し易いことが判明した。そこで、BMTの際、PHSCだけでなく、donor由来のstromal cellsの補充が必要と考え、骨を移植した。骨と骨髄を同時に移植したMRL/lprマウスでは、1年近く経過しても100%の生存率を示し、stromal cells移植の重要性が明らかになった。(J.Immunol.152:3119-3127,1994)。 (2)インスリン依存型糖尿病(IDDM)は、NODマウスを用いた我々のBMTの実験から、自己免疫疾患であることが証明されたが、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)の中にも免疫学的異常に基づいて、発症するものが存在するかを解析するため、NIDDMのモデルマウス(KK-Ay)を用いて骨髄移植によるNIDDMの治療を試みた。 尿糖(+++)のKK-Ayマウスに正常マウスの骨髄を移植すると、1ケ月後には正常の耐糖能パターンを示し、NIDDMはBMTのみ(膵移植なし)で治療できることが判明した。以上の結果は、NIDDMの中にも免疫学的異常にり発症し、正常マウスの骨髄を移植することにより、治療可能であるものが存在することが、明らかになった。さらに、糖尿病の合併としての高脂血症,腎病変もBMTにより治療できることが判明し(J.Exp.Med.176:1233-1238,1992)。 (3)最近、慢性腎炎の中でも治療抵抗性のfocal segmental glomerular sclerosisのモデルマウスが開発され、このマウスを用いて慢性腎炎もstem cell disorderであることを実証することができた(J.Exp.Med.179:1053-1058,1994)。 (4)骨髄の微小環境を構成しているstromal cellsがPHSCsを呼び寄せる因子を分泌していることを見い出した(Blood 83:964-971,1994)。 アロのPHSCsが肝臓にtrapされることにより、アロの抗原特異的に免疫抑制が起こることを見い出した(Eur.J.Immunol.in press)。 多能性造血幹細胞(PHSC)を精製する新しい方法を発見した(Proc.Natl.Acad.Sci.in press)。この方法では、4コのP-HSCにより280日間の骨髄再建が可能である。
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