研究課題/領域番号 |
03454178
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
多田 功 九州大学, 医学部, 教授 (60064531)
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研究分担者 |
是永 正敬 熊本大学, 医学部, 助手 (00128274)
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キーワード | サイトカイン / IL-5 / 抗IL-5MAb / ネズミ糞線虫 / ベネゼラ糞線虫 / 旋毛虫 / rIL-5 / 排虫現象 |
研究概要 |
第一年度の旋毛虫感染モデルにひきつづき、第二年度は糞線虫感染マウスにおけるIL-5の役割りを3つの実験系で検討した。 A.ベネゼラ糞線虫(S.v.)一次感染に及ぼす抗IL-5MAb(NC17)処理の影響。 C_<57>BL/6マウスにNC17を腹腔投与した実験から、1)処理マウスでは寄生虫体数が有意に多い。2)このプロセスには好酸球は関与していない。3)初感染マウスでは移行期幼虫に対する自然抵抗性や排虫機構にIL-5は関与しないことが明らかになった。 B.S.v.の再感染に及ぼすTC17の影響。 この実験で次の知見が得られた。1)S.v.感染マウスにおける好酸球増加の一要因としてIL-5がある。2)S.v.移行期幼虫に対する再感染防御反応は抗IL-5モノクロナル抗体で強く抑制された。3)逆に小腸での成虫に対する再感染防御免疫はこの抗体で抑制されなかった。即ち、腸管内の虫体に対する免疫はIL-5非依存性であった。4)抗IL-5レセプターMAb処理実験ではIL-5レセプターを持つ細胞が移行期S.v.幼虫に対する再感染防御反応に重要な役割を果たしていることを示唆した。 C.ネズミ糞線虫(S.r.)とS.v.感染マウスにおける交叉抵抗性発現にかかわるIL-5の役割。 1)C_<57>BL/6マウスにS.r.を感染させるとS.v.チャレンジ感染に抵抗性を示した。2)TC17を投与したマウスでは交叉抵抗性が部分的に阻害された。3)肺に至る前の移行期幼虫に対する交叉抵抗性の発現はなく、NC17による影響も現れなかった。糞線虫間の交又反応性が発現される場は小腸であった。 前年度の旋毛虫に対するIL-5の役割を考慮に入れると、IL-5は宿主の種により防御に関与したり、しなかったりしている。このように腸管寄生虫は宿主の防御メカニズムを巧みに回避しつつ適応して来た歴史をそれぞれ持っていることが示唆された。
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