研究課題/領域番号 |
03454188
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
本間 守男 神戸大学, 医学部, 教授 (10004566)
|
研究分担者 |
伊藤 正恵 神戸大学, 医学部, 助手 (10201328)
片山 友子 神戸大学, 医学部, 助手 (10224461)
堀田 博 神戸大学, 医学部, 助教授 (40116249)
|
キーワード | 麻疹ウイルス / 新鮮分離株 / 変異株 / SSPEウイルス / M遺伝子 / H遺伝子 / 遊離ウイルス産生能 / マウス神経病原性 |
研究概要 |
B95ー8細胞で分離した麻疹ウイルス新鮮分離株および同株由来SSPEウイルス類似変異株のM遺伝子およびH遺伝子について解析し、以下の知見を得た。 1.M遺伝子について:(1)従来の標準株であるエドモンストン(Ed)株の塩基配列と比較すると、新鮮分離株では3ヵ所の非同義置換がみられた。これらの置換は、今までに報告されているSSPEウイルスで多く見られる置換と同じであった。(2)新鮮分離株と比較すると、SSPEウイルス類以変異株では1ヵ所のみ塩基置換がみられ、それは非同義置換であった。この置換はSSPEウイルスで報告されているものと異なるものであった。(3)免疫沈降解析において、変異株のMタンパク質の移動度はEd株に比べて明らかに小さかった。この移動度の差異は上記の遺伝子塩基配列から推定されるアミノ酸置換による分子量の変化のみでは説明し得 ないものであり、Mタンパク質の構造の違いによることが推測された。また、この構造の差異が感染性遊離ウイルス産生能の差異を規定していることが考えられた。 2.H遺伝子について:(1)Ed株の塩基列と比較すると、新鮮分離株では16ヵ所の非同義置換がみられ、それに併って糖鎖付加可能部位が1ヵ所増え、計6ヵ所になっていた。(2)新鮮分離株と変異株とを比較した場合には非同義置換は全く認められず、両株の間にみられるマウス神経病原性の差異はH遺伝子に基因するものではないことがわかった。(3)免疫沈降解析において、新鮮分離株および変異株のHタンパク質の分子量はEd株に比べて約4kDa大きいものであった。この分子量の増加は糖鎖付加部位の増加に基因するものと考えられた。(4)新鮮分離株および変異株のサル赤血球に対する親和性は、Ed株に比べて明らかに弱かった。この性状の差異もH遺伝子の違いに基因するものと考えられた。
|