研究概要 |
本研究は低出力医用レ-ザ-(半導体レ-ザ-疼痛寛解装置)が免疫細胞(ヒト好中球)に及ぼす影響を評価することを目的とした。本年度はこの中で特に連続照射型GaAlAs半導体レ-ザ-治療器MODEL MLDー2001,Mochida LUKETRON,波長830nm,Pulse 8Hzによる好中球活性種酸素産生量及び好中球遊走能に対する影響の詳細を知り,さらに最も好中球を活性化するレ-ザ-照射の条件を設定することを目的とした。 具体的な実験方法は以下のようである。(1)好中球活性種酸素産生量測定:健常人の好中球を単離し溶血処理した。被貧食粒子として健常人プ-ル血清でオプソニン化したzymozanを用い,それにルミノ-ルと分離した好中球を加え,その際に放出される活性種酸素量を多検体同時Chemiluminescence法で測定した。(2)好中球遊走能:48穴ケモタキシスチャンバ-を用いて測定した。 その結果,15秒照射の場合,出力15,30,45mWともに,コントロ-ルに比して最大発光時間は有意に短縮し,最大発光量は有意に増加した。したがって活性種酸素産生量が増大したといえた。また好中球遊走能も有意に増強していた。一方20秒照射の場合,最大発光時間はコントロ-ルに比して差はなく,最大発光量は,15,30,45mWで有意に増加していた。また60秒照射の場合,最大発光時間,最大発光量,好中球遊走能のいずれもコントロ-ルと比して差はなかった。 以上より,好中球を活性化するレ-ザ-照射の好件として,照射時間は15ー30秒,出力は15,30,45mWが至適範囲と考えられた。 また多検体同時定量法を改良し,測定機器(ラボサイエンス社,TD4000)とコンピュ-タ-(NEC PC98シリ-ズ)と接続することにより,さらに迅速で正確な測定が行えるようになった。 以上のように本研究は当初の計画にそって順調に進行しつつある。
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