本研究は、免疫細胞活性におよぼすレーザーの影響をみることを目的としている。平成3年度は低出力医用レーザーとして連続照射型GaALAs半導体レーザー830nm(Medilaser MLD-1002、持田製薬)を用い、最も細胞(好中球)を活性化するレーザー照射の条件(照射時間は15〜30秒、出力は15、30、45、60mW)を設定した。 また平成4年度は至適条件でレーザーを照射し、直後に好中球を粉砕して膜分画を単離し、活性種酸素種産生酵素群、主としてNADPHオキシダーゼおよびミエロペルオキシダーゼの活性を測定した。 その結果レーザー照射によって好中球の活性種酸素系では、より酸化力の強い次亜塩素酸や一重項酸素を産生するミエロペルオキシダーゼ系の活性化の増強が生じていることが示された。この作用機序として、ミエロペルオキシダーゼ活性種酸素の産生の場へ提供する脱顆粒に対してのレーザーの作用と考えられた。またスーパーオキサイドを産生するNADPHオキシダーゼ系活性系に対してもレーザー照射による増強効果がみられた。この作用機序として直接的作用の可能性が示唆された。 一方、同様に至適条件下で照射し、好中球の膜表面のレセプター数の変化を測定したところ、各種レセプターの数の増加や結合力の向上などが起きている可能性が示唆された。この他、レーザー照射によって細胞内カルシウムイオンの増加がみられた。 このようにレーザーの照射により好中球に種々の活性化が生じていることが明かとなった。 以上より本研究は現在のところ当初の目的通りに進行している。
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