研究課題/領域番号 |
03454208
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
芳原 達也 山口大学, 医学部, 教授 (10116501)
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研究分担者 |
小林 春男 山口大学, 医学部, 助手 (00127763)
荻野 景規 山口大学, 医学部, 助教授 (70204104)
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キーワード | ハロゲン化炭化水素(VHCs) / テトラクロロエチレン(PCE) / ブロモホルム(CHBr_3) / 四塩化炭素(ccl_4) / 1-1-1-TCE(MC) / トリクロロエチレン(TCE) / クロロホルム(CHcl_3) / ジクロロブロモメタン(CHcl_2Br) |
研究概要 |
飲料水中の低沸点ハロゲン化炭化水素(VHCs)を測定した。ミネラルウォーター22品中、20品にVHCsが検出された。しかし、その濃度はすべて厚生省の飲料水暫定基準値以下であった。加熱していない水道水のT-THMは陽性であり、15日間保存した場合、常温保存で1.6倍、低温保存で1.3倍に増加した。一方、残留塩素は減少し、特に常温保存の場合、5日目には検出されなかった。80℃及び100℃加熱処理水では残留塩素は検出されず、THMは10分間沸騰したものには検出されなかった。また、山口県内の上水道・簡易水道において、THMの検出量の地理的関係がみられた。 次に工業地域を通過する河川である有帆川の河口で採取したカキ、アサリおよび底質のVHCs8種(テトラクロロエチレン(PCE)、ブロモホルム(CHBr_3)、四塩化炭素(Ccl_4)、1-1-1-TCE(MC)、トリクロロエチレン(TCE)、クロロホルム(CHcl_3)、ジクロロブロモメタン(CHcl_2Br)、クロロジブロモメタン(CHclBr_2)を測定した。カキ、アサリおよび底質中からCHcl_3、ccl_4、MC、PCE、が検出され、当該化合物による環境汚染が生じていることが判明した。CHcl_3はカキ、アサリはほぼ同じ濃度で、底質の5.5倍であった。ccl_4、MCはアサリの方がカキよりも高く検出され、アサリのccl_4、MCはそれぞれ底質の7.7、4.5倍であった。PCEは貝類中には検出されたが底質中には痕跡程度しか認められなかった。またカキはアサリの2倍高濃度検出され、前者の化合物とは異なった結果が得られた。貝類中にVHCsが検出された理由として、VHCsの化学的特性である脂溶性による脂肪組織への蓄積が考えられる。汚染の経路はVHCs使用工場の工業活動にともなう海水汚染に始まる直接的な経路、一次生産者であるプランクトンの汚染に始まる食物連鎖などが考えられる。その他の要因として異化合物の生物体内での代識、生成も考慮しなくてはな らない。
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