研究概要 |
体力水準と死亡の関連性を明らかにする目的で、1982年から1987年までの間に全国7ヶ所の健康増進センターを受診した7,286名を対象に質問票による追跡を実施した。1992年1月までに6,259名(85.9%)を追跡することができた。追跡期間は1人平均7.1年間、観察人年は44,318人年、追跡期間内に発生した死亡者数は164名であった。調査開始時に握力、反復横跳び、垂直跳び、立位体前屈、上体おこし等5項目の体力検査と皮下脂肪厚、血糖、血清総コレステロール、%肺活量、血圧等5項目の臨床検査を実施し、追跡終了時までに観察された死亡者について全死因および死因別死亡との関連を観察した。 体力検査の成績と死亡との関係を性別にみると、男では全死因の相対危険は反復横跳び低値群2.62、垂直跳び低値群1.86、上体おこし低値群1.80、握力低値群1.77が高かった。 また心血管系疾患死亡の相対危険は垂直跳び低値群5.43が高かった。女では体力検査と死亡に関係が見られるものはなかった。 臨床検査成績と死亡との関係を性別にみると、男では全死因の相対危険は皮下脂肪厚40mm以上群1.88、血糖120mg/dl以上群1.81で高かった。心血管系疾患死亡の相対危険は皮下脂肪厚40mm以上群4.00、境界域・高血圧群2.31で高く、悪性新生物の相対危険は%肺活量100%未満群2.05で高かった。女では臨床検査と死亡に関連がみられるものはなかった。 健康増進センター受診者にはわが国の一般人口集団に比べて健康水準の高いものが集まるという偏りを考慮しなければならないが、体力水準が健康増進に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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