研究課題/領域番号 |
03454216
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉永 馨 東北大学, 医学部, 教授 (00004557)
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研究分担者 |
佐藤 博 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60215829)
斉藤 喬雄 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10125552)
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キーワード | 巣状糸球体硬化症 / 糖尿病性糸球体硬化症 / 高脂血症 / マクロファ-ジ / アミノヌクレオシド腎症 / トリトンWR1339 |
研究概要 |
単状糸球体硬化症や糖尿病性糸球体硬化症の腎生検標本連続切片において、白血球表面抗原マ-カ-による糸球体へ浸潤した白血球やマクロファ-ジの検索を行った結果、前者では初期の活動性の強い段階でマクロファ-ジの有意な浸潤が認められ、高脂血症にともなってその泡沫化と接着分子の放出も観察された。後者でも、進行過程にあると考えられる中等度のびまん性硬化症において、マクロファ-ジの有意な浸潤と、高脂血症におけるその泡沫化が認められた。また、実験的には、片腎摘出後の雄スプラグ・ド-リ-ラットにアミノヌクレオシドを投与した巣状糸球体硬化症モデルにおいて、トリトンWR1339の反復静注による持続的高脂血症の影響を検した。この結果、アミノヌクレオシド投与後生理的食塩水を静注した対照群に比較して、有意な尿蛋白の増加や腎機能の低下が認められたが、組織学的には、糸球体において、硬化に先行して多数の泡沫化したマクロファ-ジの浸潤が証明された。このような所見は、軽度ではあるが、アミノヌクレオシドを投与せずネフロ-ゼを惹起しない場合でも、トリトン投与の高脂血症で観察されており、トリグリセリドの著しい増加を主体とするこの高脂血症において、糸球体硬化病変の出現や増悪が起こること、その硬化病変の成立、進展過程にはマクロファ-ジの泡沫化が重要な役割を果していることが明らかとなった。なお、この際認められた高脂血症は、粥状動脈硬化におけるLDLリポ蛋白増加主導型ではなく、また、粥状動脈硬化も明らかでなかったところから、最近注目されているような「粥状動脈硬化に類似した糸球体硬化」とは異なる機序の存在が示唆された。 以上、今年度には、糸球体硬化に及ぼす高脂血症の影響を、マクロファ-ジの浸潤とその泡沫化の観察から明らかにしたが、マクロファ-ジの作用の詳細については次年度に検討することとした。
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