研究概要 |
前年度の臨床的研究から急性心筋梗塞や急性呼吸不全の患者血中のBNPは発症時に著増し,ANPは殆んど変化しないことから,BNPが急性ストレスホルモンとして作用している可能性が示唆された。そこで本年度はラット心室より培養心筋細胞を調節し,サイトカインによるANPとBNPの生合成と分泌機序の相違を検討した。Interleukin(IL)-1βは時間依存性にANPおよびBNPの分泌を促進したが,その作用はBNP分泌促進の方がより顕著であった.IL-1βは用量依存性(0.1-10ng/ml)にANPおよびBNPの分泌を促進した。ノーザン解析によるANPmRNAの発現はIL-1βにより変化を受けなかったがBNPmRNAはIL-1βにより著明に発現の亢進がみられた.以上の事実からBNPの分泌はサイトカインにより発現レベルで調節されているのに対してANPの分泌はむしろ翻訳あるいはプロセシングレベルで調節されていることが示唆される。すなわちBNPはANPとは異った調節機構を受けてストレスに対応しているものと推定される
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